BHセミナー「アリストテレス読書会」 レジュメ (生成消滅論・1巻第6章)
BHのオンラインセミナー アリストテレスの生成消滅論の読書会用のレジュメです。
1巻第6章の担当です。京大版をまとめました。
内容:接触の定義について
生成と消滅を語るために元素*1がどのように生じるかを語る
1. 各々の元素は永遠である
2. 永遠ではなく、何らかの形で生じる
2.1 お互いから同じように生じる
2.2 いずれかの元素が第一のもので、他を生み出す
ディオゲネスは 2.2 を主張しており、それは正しい。相互的に作用し合うということは、元になる基体=ひとつのもの があるということだからである。ただし、世界の全てがひとつの基体からできているのではない(相互に作用し合うようなものだけである)。
ex. 月上界のアイテール
月下界に一方的に作用するだけであるから、「ひとつの基体からできているもの」の中には含まれない
結合するにも作用するにも、まずは接触しなくては始まらないため、接触から考えてみる
接触とは多義的な言葉である。厳密な接触とはなにか。まず、接触とは極端を一緒に持つことである。厳密な意味では位置、場所、大きさ、重さも持つもの同士でなくてはならない。
作用する ⊂ 動かす
「作用する」は「動かす」の一種(下位概念)である。「動かす」は、以下の二つに分けられる。
1. 相互に動かし合う
2. 一方が他方を一方的に動かす
2. 一方が他方を一方的に動かす
厳密な接触とそうでない接触
接触の定義は以下の2つに分けられる。
イ 一般的な接触 動かすものと動かされるもの
ロ 厳密、相互的な接触 作用をするものと作用を受けるもの
たとえば我々を苦しめている者と我々は、厳密、相互的な接触ではない。我々を苦しめているものが一方的に我々に触れている。しかし、我々の身の回りのもの(=生成消滅するもの)のほとんどは、相互的に動かし合う。よって相互的に接触しあっていて、 厳密な接触である。
*1:四元素を指すのか、それともさらに根源的な要素を指すのか?