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BHセミナー「アリストテレス読書会」 レジュメ (生成消滅論・2巻第5章)

BHのオンラインセミナー アリストテレスの生成消滅論の読書会用のレジュメです。

2巻第5章の担当です。京大版をまとめました。
 
概要:元素間の転化は円環的である
そのために証明すべきこと
(a) 元素のどれ一つとして他の元素の始源ではないこと
(b) 転化はいずれか一つの元素のところで止まることはできないこと
(c) 転化はいずれか一つの元素で始まって、上方あるいは下方へ無限に直進しえないこと
(京大版より引用)
 
[332a]
自然にある物体の元素は何個か
・生成消滅というのはすでに質が異なる複数の元素の結合(1巻第1章)だから、元素は複数の種類ある
 
[332a 10]
(a) の証明
・例えば火は「熱い空気」ではない
・「転化は反対のものになること」という仮定がある
・仮定に従うと、火から空気への転化は熱いものが反対のものへ転化することによって起こる
・つまり空気は「冷たい空気」になる
・すると「熱い空気」というのは存在できなくなり、矛盾
 
[332a 20]
中間の元素(基体であり、かつ独立した元素)は存在しない
・同様に、「転化は反対のものになること」という仮定に基づく
・中間の元素があるとして、やはりそれらも反対対立のいずれかを伴って火や水になる
・中間の元素が転化して火になったのならば、中間の元素は火の反対の性質(冷たい)をもっていたことになる
・しかし中間の元素が基体ならば、火になってもその性質を保たなければならない
・火は熱いと同時に冷たいということになり矛盾
 
[332a 30]
2巻4章にて証明されたことの復習
・元素は相互に転化する
・変化速度は一定ではない
 
[332b]
元素の数と反対対立の数の関係
反対対立が一対なら、元素は2つ
しかし、観察すると元素は2種類より多そう
それならば反対対立が二対とすると、4C2-2=4より元素は4つ
 
[332b 10]
(b) の証明???
332b 12 「転化の過程は当然止まることになる」
(京大版より引用)
?証明すべきことが既知のものとして扱われている
 
[332b 20]
(c) の証明
・元素は相互転化し合うので、全ての性質はもともと全ての元素に備わっている
(ある反対対立a,a_があったとしたら、全ての元素はそのいずれかを持っている)
・無限に性質があったらどの元素も定まらず生成することができないから、性質は有限
・つまり転化は一定の方向に無限には起こらない
 
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